グリストラップを清掃する頻度や効率的な清掃方法のポイント

グリストラップの汚れを除去し、悪臭や害虫の発生、排水管の詰まりなどのトラブルを防ぐためには、それぞれの施設にあった頻度で清掃を行うことが大切です。また、掃除のやり方をしっかりと理解しておくことで、清掃が難しいと言われるグリストラップの汚れを効果的に取り除き、施設内を清潔に保つことができます。

ここでは、グリストラップの適切な清掃頻度や、効果的な清掃のやり方について解説します。

グリストラップの適切な清掃頻度

グリストラップを清潔に保つためには、それぞれの施設にあった清掃頻度を理解し、定期的に汚れを除去しなければなりません。グリストラップの水面に浮いている油脂分や、底にたまっている汚泥を適切に処理しないと「店内に悪臭が漂う」「コバエなどの害虫が大量発生する」といったトラブルが発生します。

これらのトラブルは「売上ダウン」にも直結するような深刻なものになりかねないため、施設運営においてグリストラップを適切に清掃し、きれいに保つことはとても重要なポイントです。

グリストラップの清掃は、「きつい、汚い、危険」の頭文字をとり「3K」と言われて重労働な仕事ではありますが、定期的に清掃を行い、店内を清潔に保つように心がけましょう。

施設によって清掃頻度は異なる

グリストラップは排水から油脂成分を分離する設備のため、ラーメン店や焼き鳥店、揚げ物を多く提供する居酒屋など「油を多く利用する施設」では清掃頻度を高くする必要があります。また、油をあまり扱わない施設であっても、来客や料理の提供数が多い場合は、やはり清掃頻度を高くしてトラブルが発生しないように配慮することが大切です。

理想は毎日こまめに清掃することですが、グリストラップの清掃は重労働で手間もかかるため、現実的ではありません。そのため「その施設に合った清掃頻度」を理解して定期的な清掃を行うことで、最小限の人手やコストで「悪臭や排水管の詰まりなどのトラブル」を未然に防ぐことができます。

店内を清潔に保ち、従業員が気持ち良く働ける環境を整えるためにも、施設にあった清掃頻度を守りながらグリストラップ清掃を行いましょう。

施設の種類別の清掃頻度

施設の種類や来客の状況などにより、グリストラップに溜まる汚泥の量や汚れ具合は異なりますが、一般的な施設別の清掃頻度は、以下のようになっています。

飲食店 (居酒屋や焼鳥屋、ラーメン店など油脂の利用が多い店舗) 月1回/年12回
飲食店(カフェやファミレス) 年6回
調理施設がある老人ホームや幼稚園 年6回
食品スーパー 年4回
コンビニ 年3回

ただ、清掃頻度はその施設の稼働具合によっても変わります。例えば、同じ業種であっても、

・提供数が多いファミレスやカフェ
・処理する肉や魚の量が多い食品スーパー
・おでんや揚げ物などの調理食品の提供数が多いコンビニ

などは、調理量が多いためグリストラップの清掃回数を増やす必要があります。グリストラップの正常な機能を維持しながら店内を清潔に保つためには、上記の表はあくまでも参考にして、施設の状況に応じて清掃を行うようにしましょう。

グリストラップの設置は義務ではない

グリストラップを飲食店に必ず設置しなければいけないという明確な法律はないため、グリストラップがなくても自治体によっては保健所の許可をもらうことはできます。

しかし、国土交通省管轄の「下水道法」では、油脂を含んだ汚い水をそのまま流すことを禁止しており、下水における「油脂類の放流基準値」を設けています。そして、その基準を満たすためには必然的に「下水から油脂分を分離するグリストラップの設置」が必要となるのです。

グリストラップがないと、定められている基準値を満たさないような「油脂を含んだ汚い水」を排出することになり、その結果下水道法に抵触してしまうことになります。飲食店にグリストラップの設置を義務づける法律はないものの、下水道法の基準を満たすためには必ずグリストラップの仕組みが必要となります。

(参考:下水道法 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/oto/otodb/japanese/houseido/hou/lh_06030.html
(参考:一律排水基準 http://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html

グリストラップの清掃方法

グリストラップは「第1槽」「第2槽」「第3槽」の3つの部分に分かれており、それぞれに合った清掃方法があります。特に「第2槽にたまる油脂分」と「第1槽、第2槽の底にたまる汚泥」は悪臭や害虫の原因となるため、取り残しがないようにしっかりと清掃を行うことが大切です。

清掃するときは、汚れても良い服に着替え、ケガをしないように厚めの手袋を着用しましょう。

自治体のガイドラインを確認

自治体のなかにはグリストラップの清掃についてガイドラインを発表していることもあります。、ガイドラインには、下記のような内容が記載されています。

・それぞれの部分の掃除の仕方
・バスケット内のゴミ、油脂分、汚泥の除去の頻度の目安
・グリストラップ清掃の注意点
・油脂分や汚泥の処理方法
・排水設備のメンテナンスについて

大まかな清掃方法や頻度は同じですが、自治体によって異なる部分もあるため、所在地の自治体のガイドラインを確認しましょう。

グリストラップの各部の仕組み

 

グリストラップは大きく分けて3つの部分でできており、それぞれの役目は以下のようになっています。

第1槽 厨房の排水に混ざっている残飯や生ごみを取り除く。大きなゴミはバスケットで、小さなゴミは沈殿させる
第2槽 油脂分を浮かせて溜める
第3槽 さらに油分を分離させ、パイプ状のトラップを使って、油脂を含まない水を下水に排出する

油脂は害虫の栄養分となり大量発生する場合があるため、第1槽のバスケットに溜まったごみと第2槽の油脂分はこまめに除去することが大切です。また、悪臭の原因となるのは「浮いて溜まった油脂と、底に溜まった汚泥」です。特に、汚泥が溜まりすぎるとグリストラップの機能が損なわれ、逆流などのリスクがあります。

油脂や汚泥を定期的に取り除いて清掃を行うことで、トラブルの発生を防ぎ、店内を清潔に保つことができます。

バスケットの清掃

第1層にはバスケットが設置されており、ゴミや野菜クズ、残飯など大きめのごみをキャッチし、下水に流れないようにしています。そのため、ごみを放置しているとバスケットの網目が詰まってしまいます。バスケットの中のごみを捨て、きれいにする作業は毎日行いましょう。

また、厨房で多くの食材を扱うほど、ごみの量は多くなります。溜まるごみや野菜クズの量が多い場合は数時間おきに清掃すると、より清潔に保つことができます。

第2槽目の清掃

第2槽では、油脂分が上に溜まり、汚泥は底面に溜まります。この2つが悪臭の原因となるため、しっかりと取り除くことが大切です。浮いた油脂分は、ひしゃくやストレーナーを使ってすくいあげて除去します。この作業は、2~3日に1回は行いましょう。

汚泥は底面に溜まっているため、ひしゃくや柄の長い道具を使って、底をさらうように取り除きます。汚泥の除去は体力も手間もかかる大変な作業ですが、油脂分と同様2~3日に1回は必要です。作業は屈んで行うため、腰に負担がかかることもありますが、汚泥の取り残しがないように四隅までしっかりと清掃しましょう。

トラップ内部の清掃

排水トラップ内部の清掃は、トラップ口にあるフタを外し、ブラシやタワシを使ってこびりついた汚れやヌメリをこすり落とします。しつこい油脂分を除去するのは大変ですが、きれいにしておかないと排水詰まりの原因になるため、念入りに行いましょう。

トラップのフタは臭気止めなので、閉め忘れがないように、清掃の最後にしっかりと確認しましょう。トラップ内部の清掃は、一般的には2~3か月に1回が目安となっています。しかし、油を多く使う施設では、トラップ内部に油脂がこびりつき、ヌメリが発生しやすくなっているため、1か月に1回は清掃を行うようにします。

このように、状況に応じて清掃頻度を高くすることで排水をスムーズにし、悪臭を防ぐことができます。

悪臭の除去

グリストラップの中には、悪臭のもととなる2種類の汚れがたまっています。1つ目は「スカム」と呼ばれるもので、酸化した油脂分や繊維質が水面にたまり、スポンジ化したものを言います。ラーメン店や中華料理店、居酒屋など、油を多く使う施設はスカムが発生しやすくなるため、悪臭を除去するにはこまめな清掃が必要です。

2つ目は「スラッジ」と呼ばれるもので、グリストラップの底にたまったヘドロのような汚泥のことを言います。少しずつたまったスラッジが腐敗していくことで、悪臭を放ちます。スラッジの除去には労力がかかりますが、取り残しがあると悪臭に直結するため、隅々まできれいに取り除きましょう。

きれいに掃除をしたつもりでもスカムやスラッジの取り残しがあった場合、長期間に渡って蓄積していくことになり、ますます除去が難しくなります。除去作業は重労働で難しいかもしれませんが、汚れをためないようにきちんと清掃を行うようにしましょう。

グリストラップ清掃における注意点

グリストラップ清掃は施設運営において重要なことから、注意点をしっかりと理解して清掃作業をする必要があります。

グリストラップの汚れが蓄積すると、客席にまで届く悪臭や害虫の発生、また排水管が詰まるなどのトラブルが起こる可能性も高まるため、グリストラップ清掃の重要性を従業員にも良く理解してもらうことが大切です。

清掃は決まった頻度で行う

グリストラップの清掃は決まった頻度で行うことが大切で、定期的に汚れを除去しないと悪臭や下水詰まりの原因となってしまいます。しかし、グリストラップの清掃は「3K(きつい、汚い、危険)」の仕事とされており、従業員が積極的に行わない作業であることも事実です。

グリストラップの清掃を決まった頻度で確実に行えるように、当番制にする、掃除する日にちを事前に決めて周知するなどの工夫をしましょう。

グリストラップのゴミは「産業廃棄物」

グリストラップから出た油脂分や汚泥は「産業廃棄物」に分類されているため、一般ゴミとしてそのまま捨てることはできません。

残飯や野菜クズなどと一緒に一般ゴミとして捨ててしまった場合は「5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金」、「法人は3億円以下の罰金」を課せられる可能性があるため注意しましょう。

第1槽でバスケットに溜まった「残飯やごみ」は一般ごみとして捨てても行政によっては問題ありませんが、第1槽・第2槽で除去した「油脂分や汚泥」は捨てずに一旦別の容器で保管します。そして、産業廃棄物処理の資格を持った業者に回収を依頼し、自治体のガイドラインに沿って適切に処理しましょう。

部品の経年劣化に気をつける

グリストラップの部品は経年劣化するものが多いので、掃除の際にチェックし、古くなったものがあれば交換しましょう。

グリストラップのフタには「鉄製のもの」と「ステンレス製のもの」があり、交換のタイミングは鉄製では約5年、ステンレス製では10年と言われています。ただ、鉄はサビやすいこともあり、施設の状況によってはもっと早く交換が必要な場合もあります。

また、第1槽で使われているバスケットや、悪臭をもらさないためのトラップ菅のフタなども大切な部品です。破損しているものや劣化が目立つ場合は、すみやかに交換するようにしましょう。

対処が難しい汚れはグリストラップの清掃業者に依頼しよう

グリストラップの汚れを適切に除去して機能を正常に保つことは、施設の運営において非常に重要です。しかし、蓄積した油脂分や汚泥を完全に除去することは難しく、清掃してきれいにしたつもりでも、悪臭や害虫が発生する場合があります。

専門業者であれば専用の機器を使って、プロならではな仕上がりでグリストラップを清掃することができます。また、従業員にストレスをかけず、本来の業務に集中してもらえるという点もグリストラップ清掃業者を利用するメリットです。

業者に清掃を委託する際の予算

グリストラップの清掃を委託する際の予算は、施設の規模や飲食店の種類によって変わります。一般的な飲食店におけるグリストラップ清掃の費用は、250リットル以下で19,000円~35,000円程度となっています。

ただし、ラーメン店や焼鳥店など廃油や汚泥が多く発生する施設は、通常よりも費用が高くなる場合があります。また、清掃方法によっても費用が変わってくるため、まずは信頼できるグリストラップ清掃業者に相談してみましょう。

まとめ

グリストラップの清掃を適切に行い、店内を清潔に保つことは店舗運営において重要です。しかし「きつい、汚い、危険」とされる作業のため、清掃作業に関わる従業員のモチベーションの低下や、清掃を適当に行い汚れがたまってトラブルが発生するなどの問題が起こる場合もあります。また、個別に産廃業者を手配すると手間もかかります。

その場合、グリストラップ清掃の専門業者を利用すれば、従業員にストレスをかけることなく、隅々まで汚れを除去することができます。また、通常であれば見落としがちな、蓄積しやすい汚れもしっかりと取り除くことができるので、グリストラップを良い状態で維持することができ、その結果劣化しにくい状態を保つことができます。

グリストラップを清潔に保ち、店舗を衛生的に運営したい場合は、ぜひグリストラップ清掃専門業者である「アイエスジー株式会社」に相談してみましょう。実績豊富で、広域対応。さらに「優良産廃処理業者」なので、安心です。