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相続のお話① たわけ者

相続税がかかる人とかからない人

 平成27年から実施される税制改正(平成25年改正)は、相続税がかかる人を増やすための改正と言われています。ここはちょっと、勉強しておく必要がありますね。
 相続は財産の多い少ないに関係なく、人の死とともに発生しますが、相続税がかかる人とかからない人とがいます。
 亡くなった人(被相続人)の財産、すなわち「遺産」には、現金、預貯金、株などの有価証券、土地(借地権も含む)、家屋などの財産が含まれ、ここから被相続人の残した借入金などの債務を引いたものが正味の遺産総額となります。遺産は、被相続人の配偶者、子、親、兄妹の順で相続します。
 相続税というのは、この遺産を引き継ぐときにかかってくる税金です。ただし、さまざまな控除があり、それを活用することで税金を安くできます。控除には、すべての人に適用される「基礎控除」と、「配偶者控除」とがあります。税制改正でこの基礎控除額が変更されましたが、3,000万円以下の財産なら、ふつう相続税はかかりません。

みんなで分けるか長兄の総取りか

 日本の相続税は、かつては故人の遺産に一括して税金をかける「遺産税方式」でした。家督相続が一般的だったので、故人の子の長男子(兄弟姉妹の長兄)単独相続が原則でした。つまり、戦前の遺産相続では、次男以下の男子と女子には相続権はなかったのです。
 これは江戸時代に発達した、武士階級の家父長制的な家族制度を基にしていました。家が持っている土地を兄弟で分けていると、代が進むにつれてだんだんと分ける土地が分割して小さくなってしまいます。それを避けるために、土地は長兄が一括で相続するというもの。愚かな者を指す「たわけ(田分け)者」の語源も、ここにあります。
 しかし戦後、昭和22年には民法が大規模に改正され、親族編・相続編が根本的に変更されて家制度は廃止され、相続税は遺産を受け取る人それぞれに課税する「遺産取得税方式」がとられるようになりました。

(執筆・諏訪書房相続研究会)

■財産を相続する権利のある人は
 亡くなった人を「被相続人」、財産を相続する権利のある人を「相続人」と呼び、相続人になるかどうかは民法で決められています。配偶者、子、親、兄妹の順で遺産を相続していきますが、配偶者は必ず相続人となり、配偶者以外は優先順位の高い相続人のみで、例えば、子供がいる場合は親、兄妹は相続人になれません。

■相続税の「控除」いろいろ
 相続税の税率には「超過累進税率」が適用されており、遺産総額が大きくなればなるほど、相続税は高くなります。  「基礎控除」は、すべての人に与えられた控除で、5千万円に法定相続人の人数×1千万円を加算したものを、遺産総額から控除できます。  ということは、相続人が4人の場合、遺産総額が9千万円以下なら、相続税は払わなくてすむというわけです。  「配偶者控除」は、婚姻届けを出している配偶者が相続した財産について、1億6千万円または法定相続分のどちらか高いほうまでは、税金がかからないというものです。  そして、平成25年税制改正で、基礎控除が3千万円+(法定相続人の人数×600万円)となり、平成27年より実施予定とされています。つまり、相続税がかかる人を増やすための改正が行われるのです。

■かつては次男以下の男子と女子には相続権がなかった
 日本の相続税は1905年(明治38年)に日露戦争の戦費調達のため導入されたのが始まりです。当時は家督相続が一般的だったので、相続税は、故人の遺産に一括して税金をかける「遺産税方式」が採用され、戦後の1949年(昭和24年)まで実施されていました。  家督相続とは、1898年(明治31年)に制定された民法において規定された「家制度」により、「家」の代表である「戸主」の身分的地位と戸主に属する財産の受継ぎで、故人の子の長男子(兄弟姉妹の長兄)単独相続が原則でした。だから、旧民法の遺産相続では、次男以下の男子と女子には相続権はなかったのです。

■現在の相続税は「遺産取得税方式」
 現在の相続税は、遺産を受け取る人それぞれに課税する「遺産取得税方式」がとられるようになりました。戦前の家督相続とは違い、それによって、配偶者や長兄以外の子供、兄弟なども遺産の分配を受けられるようになったわけです。  最近では、さまざまに議論があった婚外子の相続について、相続格差は不合理だという判決も出されています。相続に対する考え方は、時代によって変化するのですね。

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