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相続のお話③ 分けられないから争いになる

相続が「争続」になる原因

 相続の順番や分配は、法律でルールが決まっています。法定相続では相続人の第1順位は子と配偶者となります。子供がいない場合は、第2順位として、直系尊属である故人の父母が3分の1、配偶者が3分の2の割合で相続します。以上の相続人がいない場合は、第3順位として兄弟姉妹とその子供に相続権が生じます。
 父が亡くなれば、母と子が財産を分ける……それが、簡単なようで難しいのが人の世です。例えば、父が亡くなって母と、同居する長男とすでに独立した2人の子、合計4人が相続人だったとします。母は遺産の2分の1、子は2分の1を3分割、つまり6分の1ずつ相続しますが、父親は貯金など現金をほとんど残しておらず、あるのは母が住む家と土地だけという場合、母の住む家を分割するわけにはいきません。母と同居する長男が6分の2相当を現金などで他の弟妹2人に与えなければなりません。親の面倒をみている長男からすると、弟妹が当然のように分配金を要求してくると、あまり愉快ではありません。相続をめぐるトラブルは、そうしたところから始まるのです。

家督相続であっても争いは起きる


イラストレーション:おがわまさひろ
http://i.fileweb.jp/ogawamasahiro

 戦前までは1人がすべての財産を相続する家督相続が主流でした。跡取りがすべてを相続するので実にシンプルで、分けるトラブルはありません。ただし、嫡男である「跡取り」以外は大変でした。女は嫁に行き、男は家を出て、一家を成すように稼がねばならなかったのです。
 江戸時代、武士は身分を世襲し、それにより将軍や殿様から受ける俸禄も、基本的には代々決まっていました。ふつう嫡男が家督相続をしますが、正妻の他に側室がいたお殿様のところでは、誰を家督相続者にするかで揉めることもありました。時代劇でよくある「御世継」をめぐる「御家騒動」です。また、嫡男でなく、跡取りとしての養子の口もなかった武家の男子は、家を出ることもできず「部屋住み」という厄介者として一生を送ります。ただし、長兄に何かあったときのためのスペアですから、突然跡取りになることもありました。後に幕府の大老になる井伊直弼などは、32歳まで部屋住みで彦根城内でぶらぶらしていましたが、御世継の兄が死んで急遽、藩主になり、歴史の舞台に登場しました。

嫡男(ちゃくなん)…正式に婚姻している夫婦間に生まれた長男

■相続の第1順位
 相続の第1順位は、亡くなった人つまり被相続人にいちばん近い子供(=実子や養子)です。この被相続人の子供を直系卑属(ひぞく)と言います。子供が亡くなっているときだけ、孫に相続の権利があり、同様に、孫もすでに亡くなっているときだけ、ひ孫に相続の権利があります。
 なお、法律上の届出がされていない内縁関係の人の相続は認められていませんが、その子供(=非嫡出子<ひちゃくしゅつし>)は、第1順位の相続権が認められています。かつて非嫡出子の相続分は実子の2分の1でしたが、平成25年12月に民法の一部を改正する法律が成立し、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分と同等になりました。

■相続の第2順位、第3順位
 被相続人に子供、孫、ひ孫がいないときは、被相続人の父母が遺産を相続します。被相続人の父母を直系尊属といいます。もし、父母が亡くなっているときは、被相続人の祖父母が、相続することになります。
 第1順位の直系卑属と、第2順位の直系尊属が誰もいないときは、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。さらに、その兄弟姉妹の中で子供を残して亡くなっているときは、その子供、被相続人の“おい・めい”にも相続の権利があります。

(執筆・諏訪書房相続研究会)

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