ISタイムトラベル130 NO.5

アイ・エス・ガステムは2015年、創業130周年を迎えています。
このコーナーでは、当社の歴史を人々の暮らしの変遷や歴史のトピックと一緒に連載でたどっていきます。

LPガスの販売を開始

 昭和30年代、家庭用エネルギーの主役である木炭や練炭を扱う石井商店は、順調に業績を伸ばしていきました。しかし、やがてその主役はガスに代わると予想していた石井誠は、父である2代目の信吉に、当時、まだ珍しかったLPガス(プロパンガス)の取り扱いを進言しました。
 昭和20年代まで、家庭用のガスは導管で敷設される都市ガスだけで、大都市のごく限られた地域しか利用できませんでした。そこへ容器(ボンベ)に詰めてどこへでも持ち運べるLPガスが登場しました。「どこの家庭も必ず、炭よりも便利なガスを使うようになる」と誠は思ったのです。
 ところが父・信吉はなかなかOKを出しませんでした。「神代の時代からの木炭が廃れるはずがない」という信念がありましたし、「炭で儲かっているのに何も自分から競合商品を売ることはない」とも考えました。親子は衝突します。
 しかし時代は確実に流れていきました。昭和39年(1964年)に社長を引き継いだ誠は、着々と準備を進め、3年後の昭和42年(1967年)にLPガス販売専門の松戸営業所を開設します。郊外に住宅がどんどん建ち続けるエリアで、ガスの新規開拓を始めたのです。

新しい営業手法とガス基地の建設

 誠の新規開拓方法は斬新でした。いまでは当たり前となっているガス設備のレンタル(貸与契約)も発案しました。お客さまのガス設備の費用負担を軽減することで、ガス利用者を増やしたのです。
 さらに誠はLPガス充填基地の建設も始めます。ガスを安定的に、しかも適正価格で販売するためには、輸入・製造会社から直接LPガスを購入・備蓄して販売すべきだと考えたのです。
 昭和48年(1973年)9月に船橋市の現本社所在地にLPガス充填基地が完成します。基地の建設は莫大な投資が必要であり、誠の計画は周囲の大きな反対を受け、中には会社の存続を危ぶむ声もありました。しかし、同年10月から始まったオイルショックでガス不足が生じた中、基地を持つ石井商店はガスの安定供給を行い、販売量を一層伸ばし短期間で投資を回収しました。

オイルショックとLPガス

 昭和48年(1973年)10月に勃発した第四次中東戦争を契機とした石油の値上がりと、それに伴う石油製品の値上げや品不足、あるいは売り惜しみで、日本は一時的にパニックに陥りました。「トイレットペーパー不足」などが有名ですが、LPガスも市場への供給量が極端に減り、多くの利用者が困りました。




家庭用LPガスの登場

 家庭用燃料としてのLPガスは、戦後間もなく日本に紹介されています。プロパンガス(LPガスの種類の一つ)を鋼製の容器(ボンベ)に詰めたもので、「ガスの缶詰」とも表現されました。
 一般家庭でのガスの利用は、すでに明治初期から照明用(ガス灯)の燃料として、東京や横浜などの都市部で導管供給が行われていました。大正時代に入り、台所の厨房用燃料として利用されるようになると、次第にそれが主流となっていったのです。薪炭や練炭、石炭に比べて熱量が高く、制御しやすいガスは、厨房用エネルギーとしては最適でしたが、導管供給できるのは全国のうちごく一部の大都市の都心部だけでした。ガスの製造や導管敷設にコストがかかるため、利用者の密度が高くなければならず、「都市ガス」は都市であっても郊外では利用できませんでした。LPガスという「ガスの缶詰」の登場が、全国どこでもガスの利用を可能としたのです。

LPガスとは

 LPガス(LPG)とは、「Liquefied Petroleum Gas(液化石油ガス)」の略称です。主成分がプロパンの場合はプロパンガス、ブタンの場合はブタンガスと呼ばれます。家庭用は主にプロパンガスが使われます。
 LPガスは簡単に液体になる性質があります。液体になると、体積は気体の時の約250分の1になります。このため運搬が便利なエネルギーと言え、全国津々浦々で利用されるとともに、災害時の復旧エネルギーとしても活躍しています。
 LPガスの性質は火力が強く、毒性がないこと。LPガスは化石エネルギー(石油・石炭・天然ガス・LPガス)の中でも、天然ガスとともに二酸化炭素の排出量が少ないエネルギーです。また、環境に悪影響を与える硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、浮遊性粒子状物質(SPM)をほとんど発生しません。
 LPガスはもともと無色無臭ですが、安全のため漏れても気づくように臭いが付けられています。

LPガスの利用

 現在日本国内における消費量は年間約1,630万トン(2012年度)で、国内最終消費エネルギーの約4%を占めています。用途としては、家庭業務用のほか、自動車用、工業用、化学原料用、都市ガス用や電力用など、さまざまな分野で使われています。
 家庭用では全体総世帯のほぼ半分に当たる約2,500万世帯で使われています。このほか、アウトドア用携帯コンロ、タクシーの燃料、スプレー缶など身近に利用されています。

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