LPガスのメリット

全国で多くの世帯に利用されているLPガス。調理に給湯に、毎日当たり前のように使っている人でも、実際にLPガスがどんなガスなのかよく知らないということも意外と多いのでは? 実はLPガスには、都市ガスや電気にはないさまざまな優れた特徴があるのです。都市ガスとの違いも踏まえながら、LPガスのメリットについて紹介します。

LPガスの基礎知識

LPガスとは、液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)のことをいい、都市ガスと同じ石油系のガスです。主な成分がプロパンのため、一般にプロパンガスとも呼ばれています。気体であるガスを250分の1の体積量に液化させたものをボンベに充填することで、全国どこの地域にも効率よくエネルギーを供給することができます。もともとプロパンは無色無臭のガスで、特有の臭いはガス漏れをすぐに察知できるように後からあえてつけられたものです。
まずLPガスのメリットとして挙げられるのは、発熱量が高いこと。都市ガスと比較して約2.2倍の熱量があります。単純に計算すると、LPガスなら加熱時間が10分のところ、都市ガスは約22分かかるということになります。そのため、都市ガスのコンロは、ガスの穴を増やすことで加熱時間に差が出ないよう工夫されています。

環境にやさしいクリーンエネルギー

温室効果ガスである二酸化炭素排出量が他の化石燃料に比べて少なく、燃焼時の排出ガスがクリーンであることも、LPガスの大きなメリットです。いま、LPガスは、地球温暖化や大気汚染といった環境問題に対応できるクリーンエネルギーとして注目されているのです。
二酸化炭素の排出量を、原油を1とすると、LPガスは0.86。ガソリンの0.99や灯油の0.98と比べても環境への負担が少ないといえます。0.73の都市ガスと比較した場合でも、生産と輸送の排出量もあわせて計算するとほぼ同レベルとなります。また、第二の温室効果ガスといわれる「ブラックカーボン」の排出レベルが低いのも特徴です。
それに加えて、燃焼時の排出ガスに、大気汚染や酸性雨の原因とされている窒素酸化物や硫黄酸化物をほとんど含まないことや、オゾン層の破壊につながるフロンガスの代替物質として使用されていることからも、その環境性能の高さに期待が集まるのも当然といえるでしょう。

※二酸化炭素排出量のデータは「日本LPガス団体協議会」から
http://www.nichidankyo.gr.jp/toku/dl/ch01.pdf

災害に強いLPガス

LPガスは、各世帯にボンベなどガス容器を配送する分散型供給のため、「分散型エネルギー」と呼ばれています。配管などのガス供給設備も戸別であるため、異常が発生した場合にも迅速な復旧が可能です。一方、液化させて運ぶことが難しい都市ガスは、気体のままガス配管を通して家庭に届けられています。災害時には、使用各戸の点検や埋設されたガス配管の安全確認が必要となるため、設備復旧に時間がかかりやすいといわれています。この点において、LPガスと都市ガスとの違いが大きく現れます。LPガスは、災害時に系統供給といわれる電気や都市ガスなどのライフラインが絶たれても、外部からの接続の復旧を待つ必要がなく、すぐに使用できるエネルギーとして高く評価されているのです。