グリストラップ清掃の頻度は?関連する法律と罰則についても解説!

飲食店を経営している人の中には、グリストラップの定期的な清掃が必要だと分かりつつも正しく使用していなかったり、定期的に清掃しなかったりする人もいるのではないでしょうか。

グリストラップは各層の清掃頻度の目安が決まっています。また、正しく使用しないと罰金や懲役といった罰則が科せられるリスクがあるため注意が必要です。

そこでこの記事では法律違反にならないために、適切な清掃頻度や罰則についてご紹介します。清掃を怠ると起きる落とし穴を把握することで、従業員の意識改革にもつながるでしょう。グリストラップと法律の関わりを理解すれば、自ずと清潔な環境が維持できるようになります。

グリストラップ清掃の最適な頻度

グリストラップの各槽は、それぞれ最適な清掃頻度が決まっています。その頻度を守らず、ゴミや汚れが溜まっているまま放置していると排水が詰まる原因となります。害虫やネズミの被害だけではなく、悪臭によって従業員のやる気の低下やお客様からの悪評価にもつながります。

グリストラップ本来のろ過機能まで失い、汚水を下水に排出してしまうと法令違反になってしまいます。そのような事態を避けるためにも、最適な清掃頻度を把握しておきましょう。

バスケット

一槽目のバスケット部分は、毎日清掃する必要があります。バスケットには残飯や野菜クズといった大きなゴミが溜まります。生ゴミを放置したままでいると、腐って悪臭を発生します。

厨房に悪臭が漂うと従業員のモチベーションが下がり、人によっては気分が悪くなるでしょう。さらに酷くなると、厨房だけではなく客席まで広がってしまい、お客様の印象にも悪影響を及ぼします。

加えてグリストラップの悪臭に害虫が寄ってきて繁殖することもあります。害虫が料理に入り込み、問題になる危険性もあるため注意が必要です。バスケットはすぐにゴミが溜まりやすく、害虫や悪臭の原因になりやすいため放置してはいけません。バスケット部分は毎日清掃するようにしましょう。

油脂

二槽目に溜まる油脂は、飲食店のジャンルによっては毎日の清掃が必要です。例えばラーメン屋や焼肉屋といった油を多く使用するお店では、油脂が大量に発生するため毎日の清掃が推奨されています。このような飲食店がグリストラップ内の油脂を放置すると、排水がろ過されなかったり、排水管が詰まったりするリスクが高くなります。

ほかのジャンルの飲食店だとしても、放置する期間が長いと油脂が蓄積して同じトラブルを引き起こします。そのため、2〜3日に1度の清掃が適切です。もしも清掃のための時間を確保しづらい場合は、最低でも1週間に1回は清掃するようにしましょう。

放置したまま残っている油脂が腐敗すると、悪臭の原因にもなり不衛生です。また、油脂の流出は規制が厳しくなっています。下水に流れて責任を問われないためにも、定期的に油脂を取り除くことが重要ポイントです。

沈殿物

グリストラップの底には沈殿物があります。二槽目では油脂が浮上しますが、それ以外の排水は三槽目へと流れ、底には油脂よりも重たい物質「汚泥」が溜まるようになっています。

汚泥はヘドロのように沈殿して、時間の経過とともに量も増えていきます。油脂と汚泥の区分ができなくなるほど汚泥が溜まると、グリストラップの設置意義がなくなってしまいます。

厨房からの排水をろ過できなければ、油脂を分解しないまま汚水を下水に流すことになります。そうすると、法律で定められている基準を満たしていない汚水が周囲環境に悪影響を与え、責任を問われる危険性があります。

グリストラップの機能を低下させないためにも、油脂同様2〜3日に1度汚泥を処理するよう心がけましょう。悪臭がひどい場合は、より頻繁に清掃することをおすすめします。

グリストラップ清掃の重要性

飲食店を経営する上で「清潔さ」は重要です。清潔感のないお店では、印象が悪いために繁盛しません。不衛生なお店に入ると、食材の鮮度や雑菌などが気になって食事の意欲がわかないばかりか、自ずと食中毒から身を守りたくなります。

グリストラップを清掃しないことにどのようなリスクがあるのか確認し、グリストラップ清掃の重要性を改めて確認しましょう。

飲食店は清潔さが重視される

「清潔さ」を重要視してお店を選ぶ方は少なくありません。食事をするのでもちろん、インターネットに掲載してある料理の情報や、口コミも判断材料になっているでしょう。しかし、偶然目の前を通ったようなお店であれば、外からもわかる清潔感やキレイさに思わず惹かれて入ってしまいます。

店内に不潔な雰囲気が漂っていたり、汚れていたりするお店には前を通ったとしても入ることはあまりありません。ふと見た瞬間の外観や清潔さに惹かれて店内に立ち寄るケースが多いでしょう。

清潔さに関しては、お店の内観や外観に限ったものではありません。そのお店で働いている従業員の身なりも関連してきます。従業員が無愛想だったり、汚れた服を着ていたりすると料理を美味しく感じられません。

内観、外観、スタッフの雰囲気や態度といった外から見える清潔さに気を配って店舗運営を行うことが大切です。清潔さが欠けると、お客様からの印象も下がりやすくなるということを念頭に置いておきましょう。

グリストラップは悪臭の原因となる

グリストラップは、清掃を怠ると悪臭の原因となります。それは、グリストラップで排水ゴミを溜め込む仕組みになっているからです。

例えば、一槽目のバスケットに溜まる残飯や野菜くずは、生ゴミに該当します。バスケットの中身を処理せずに放置すると、生ゴミが腐って悪臭を発するようになります。また二槽目の油脂に関しても、浮いている油脂が溜まると固まって腐り始めます。油脂の腐敗によって鼻をつくような臭いが蔓延していくのです。

グリストラップの清掃を怠ることによって生じた悪臭は、グリストラップが設置してある場所に充満します。厨房にある場合は、従業員の労働環境が悪化し生産性を下げるかもしれません。また、さらに悪臭がひどくなると客席や店外へと広がっていくこともあります。

悪臭が漂い、清潔感に欠けるお店ではお客様を増やすことは厳しくなるでしょう。お客様の評価を上げてたくさんの人に来てもらうためには、悪臭がない清潔感のあるお店づくりが大切です。定期的な清掃を徹底しましょう。

排水管が詰まる可能性も

グリストラップを清掃しないまま放置すると、排水管が詰まる原因になります。厨房の排水から流れてきた油脂をグリストラップの内部に放置していると、油脂がほかの排水管へ流出し排水管の壁に固着していきます。固着した油脂までも放置すると、排水管が細くなりいずれ排水すらできなくなってしまいます。

店外の下水管まで詰まらせてしまうと、責任範囲が広くなるため注意が必要です。万が一、グリストラップの清掃を放置して下水管が詰まってしまうと、復旧費用を請求される可能性が高くなります。

復旧のための費用は数百万円にも登ることがあり、もしも請求されてしまうとお店の経営にも大きな打撃を与えます。多大な損害額を請求されることを防ぐためにも、定期的な清掃に費用をかけてリスク回避することをおすすめします。

清掃を怠ることで高額な費用をかけるのであれば、定期的に業者に清掃を依頼して想定されるリスク費用を抑えることが大切です。従業員だけで清掃することが難しければ、業者に委託してキレイにしてもらう方が安く済ませられます。

グリストラップに関連する法律

グリストラップの設置には義務はありませんが、グリストラップにはいくつかの法律が関連しています。法律の内容をおさえておかないと、知らないうちに法律違反となる危険性もあります。

罰則を科せられてしまわないように、関連する法律や罰則の内容を把握しておきましょう。健全な店舗運営を行ためには重要なポイントであるため、すでに知っているという方でももう一度確認しておくことをおすすめします。

産業廃棄物を扱うため罰則もある

グリストラップから排出される汚泥は「産業廃棄物」として扱わなければなりません。廃棄物処理法という法律では「産業廃棄物を出す事業者」に対して法令が定められています。違反すると罰則があるため注意が必要です。

レストランやホテル、旅館といった料理を扱う飲食店から排出された汚泥は、産業廃棄物に該当します。そのような事業を営む事業者は、排出事業者として責任を持って汚泥を処理する必要があります。

排出事業者としての責任を度外視して、一般ゴミと同様に破棄すると法律違反となり、飲食店の経営許可を失効するかもしれません。経営を続けるためにもゴミの分別をしっかり行い、産業廃棄物を責任持って適正に処理するようにしましょう。

関連する罰則

グリストラップの汚泥は産業廃棄物のため、適切に処理しないと法律違反となり罰則が科せられます。けして軽い罰ではありません。環境問題を軽視させないための罰則内容となっていますので、責任の重さを確認しましょう。具体的な罰則は以下の4つです。

産業廃棄物を自分勝手に処理した場合「投棄禁止違反」として、5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金があります。場合によっては、懲役と罰金2つとも科せられます。法人には、1億円まで加重できるため注意が必要です。

「無許可業者へ廃棄物処理の委託した場合」も罰則があります。排出事業者が許可を受けていない事業者に産業廃棄物の処理を委託すると、しかるべき処理ができないため法律違反となります。こちらも5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金または両方が科せられます。

法人は1億円まで加重されるため、委託業者を選ぶときは認可を受けているかどうか、しっかり確認しましょう。他人のことでも、処理を委託依頼した側にも責任が問われます。

その委託する際に重要なポイントが「委託基準」です。委託基準に沿って進めなければ、委託基準違反として罰則の対象となります。事業者が産業廃棄物の処理を委託する際には、委託基準を遵守する必要があります。

「処理状況の確認」や「特別管理産業廃棄物」の内容に関する事前通知といったいくつかの基準を満たして委託を行わないと、罰則の対象となります。3年以下の懲役、または300万円以下の罰金またはこの併科が罰則内容となっています。

産業廃棄物の処理には、ちょっとした油断でさまざまな罰則に繋がってしまいます。そのため間違えがないように用意されているのが産業廃棄物の処理伝表「マニフェスト」です。そのため「マニフェストの不交付」「記載漏れ」「虚偽記載を行う行為」も罰則の対象となります。

これは「マニフェスト交付義務違反」に該当するためです。「排出事業者責任の明確化」と「不法投棄防止」を目的としているので、マニフェスト制度を遵守して産業廃棄物を処理しましょう。万が一、違反した場合は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

どの罰則も店舗運営に大きな影響が出るため、責任範囲をしっかりと把握して違反しないように注意しましょう。

まとめ

グリストラップの清掃は、健全に店舗運営を行うためには重要です。清潔な環境で店舗の評判をあげるのは店舗の個性です。しかし、食事を提供する場所の衛生環境はある程度義務化されています。そのため、店舗運営で発生したゴミを適切に処理しないと法律違反となり罰則の対象となる可能性があります。

特に、産業廃棄物が発生するグリストラップは厄介です。従業員のみで清掃するには大変な労力を必要とし、適切に産業廃棄物処理をするとなると大きな責任がかかります。カラダにも精神的にも負担が大きい作業になるため、放置しがちになり問題が発生する危険性もあります。

従業員の負担を減らし、法律に違反するリスクを軽減するためにも、業者へ委託依頼することも検討してみてはいかがでしょうか。「業者へ委託したい」と思ったら、創業100年以上で実績豊富なアイエスジーにご相談ください。

産業廃棄物の排出事業者として認可も受けているため、グリストラップの清掃やメンテナンスをワンストップでご提供できます。料金に不安がある場合でも、お客様のご予算以内でしっかりとしたプランをご提案しますので、ご安心ください。