グリストラップ設置の具体的な方法や費用まとめ

グリストラップの設置を検討しているが「飲食店を初めて開業する」などの理由で、設置方法や費用について分からない方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、グリストラップを設置する具体的な方法や、設置前に決めておくことについてご紹介します。安心してグリストラップを店内に設置できるよう、大切な要素を簡潔にまとめています。

グリストラップは一度設置すると維持管理の責任も問われます。設置基準に従うとともに、設置前に決める4つのことをきちんと把握しておくことで衛生的なお店を維持できるでしょう。

グリストラップを設置する方法

グリストラップは、法律で明確に設置するように義務付けているものではありません。ただし、地方自治体の義務や下水道法といった法律を確認すると、実質的には設置が義務付けられているようなものです。

また、グリストラップの設置工事はどこでも対応しているわけではありません。実際にグリストラップを設置したいときには、排水設備指定工事店に依頼する必要があります。排水設備指定工事店は、各自治体で指定していることがほとんどであるため、お住まいの地域の下水道局に問い合わせてみましょう。

グリストラップの設置基準

「グリストラップの設置は義務ではない」とお伝えしました。しかし「下水道法」「水質汚濁防止法」「建築基準法」といった法律の関係性を見ていくと、設置する必要があることは必然的です。

下水道法では下水の基準値を定めており、店舗から排出する下水は下水道法の基準値以上に汚してはいけないことが決まっています。その基準値内の排水を流すためには、グリストラップの機能が合理的です。

自治体によっては、排水設備としてグリストラップの設置を義務付けているケースもあります。店舗を開業する際は、地方自治体の条例にも気を付けてグリストラップを設置することが大切です。

グリストラップを設置する前に決めるべきこと

グリストラップを設置する前に決めておくべきことが4点あります。グリストラップの「形状」「使用素材」「設置場所」「流入方式」の4点です。

これら基本の4点について把握しておくことで、お店に適したグリストラップを選べるでしょう。また、この4点の要素が購入する商品の費用にも関わってくるため、しっかり把握しておきましょう。それぞれに関して、詳しく解説していきます。

グリストラップの形

グリストラップの形は「床置き型」「浅型」「深型」の3種類あります。各特徴を見ていきましょう。

床置き型は、シンクの下などに置くタイプのものです。容量が小さく、大量の排水を流すと漏れる可能性が高いというデメリットがあります。しかし、排水管につないだり、床を削ったりという大掛かりな工事が必要ないためコストを抑えて設置できることが魅力です。後から軽食を売り始めたコンビニなどに多く置いてあります。

浅型は、キッチンの床に埋め込むタイプが一般的です。浅く掘るだけで設置できるため、ビルや居抜き店舗に気軽に導入できます。小規模、中規模の店舗での使用が多いという特徴があります。

深型は、キッチン内に設置するケースだけでなく、屋外に設置するケースもあります。容量が大きく、大規模な店舗で活用できることがメリットです。ただし、深さがあるため清掃が難しいこともあります。

使用素材

グリストラップの素材も、長く使い続けるためにはしっかり設置前に決めておくことが大切です。素材の種類は「FRP製」「ステンレス製」「モルタル製」の3種類あります。

FRP製は、繊維強化プラスチックのことを指しています。お風呂の浴槽と同じタイプの素材で、価格が安いという特徴があります。たくさんの飲食店が使用している理由には、その安さが魅力だからです。

ステンレス製は、その名前からも分かるとおりサビにくい素材になります。数多くの大型商業施設で使用しているほど、強度の高さが魅力です。費用は高めですが、長持ちするため費用対効果が望める素材でもあります。

モルタル製はグリストラップを購入するわけではなく、自家製のグリストラップを作るイメージです。地面に穴を掘り、そこにモルタルを流し込みます。自分たちで作り上げることで、費用を抑えることができる仕組みです。

設置場所

「店舗のどの位置にグリストラップを設置するのか」も大事なポイントです。置き型タイプ以外は複雑な配管工事を必要とするため、設置後に場所を変えることは容易ではありません。スタッフの導線や清掃の効率さなどしっかり考えた上で設置場所を決めましょう。

設置場所の候補は主に3つあります。屋内か屋外、床下が一般的です。屋内に設置する場合は「厨房の中」か「厨房の外」に分けることができます。厨房の中に設置する場合はグリストラップまでの排水管を短くでき、シンクとグリストラップの流水状態を確認しやすいことがメリットです。

清掃に必要な水もシンクが近いと出しやすいので、定期的な清掃もしやすくなります。床下に設置する形が多く、清掃しないでいると厨房内に臭いが充満するリスクがあるので気を付けましょう。

厨房の外に設置するケースは、主に客席やバックヤードに置くことになります。清掃を怠るとお客様の席に悪臭が漂うため、厨房内よりも定期的な清掃を配慮が必要です。

屋外に設置する場合は、大容量のグリストラップを設置できるメリットがあります。ただし、夏場はバスケット内のゴミが腐って虫が寄ってくるため危険です。冬場は気温が低いことにより、油脂が固まりやすくなります。詰まるリスクが高まることに意識を向けておきましょう。

流入方式

流入方式についても設置前に決めておくとよいでしょう。流入方式は2種類に分けることができます。排水管流入と側溝流入です。

排水管流入とは、床下に埋まっている排水管からグリストラップに接続する方法です。床下から接続するため、大規模な飲食店にはあまり向いていません。カフェやバーといった、小規模の店舗に設置しているグリストラップに多いケースとなっています。

側溝流入は厨房内に側溝を掘り、側溝の出口にグリストラップを接続する方法です。排水管よりも多く流水できるため、大規模な店舗にも対応できることが特徴です。中華やラーメンといった食品を扱っている店舗に多く見受けられるものになります。

グリストラップの設置にかかる費用相場

グリストラップは設置するために、費用がかかります。費用の相場はお店の規模によって異なりますので、グリストラップを購入するときはお店の図面をみて選びましょう。

小規模の店であれば60万円前後、大規模な店舗となると120万円以上かかることもあります。店舗によっては、すでに床下に設置しているケースもあるでしょう。その場合は、10万円前後が使用するためのメンテナンス費用としてかかります。

ただし、どの金額に関しても目安でしかありません。実際に見積りをすることで具体的な金額が出てくるため、あくまで参考程度にしましょう。

グリストラップ設置工事の流れ

次にグリストラップの設置工事の流れをご紹介します。ここでは、簡単に導入できる床置き型のタイプについてまとめました。

まずはシンクの下にある排水管を外します。次にシンクの下のところにグリストラップを置き、管を通して排水が流れ込むように接続します。

正しく設置できていると、キッチンからの排水がグリストラップに流れ込んできます。これによって、環境基準値以内の排水を下水に流せるようになります。小さいものこそ詰まりを起こしやすい点がありますので、メンテナンスも忘れずに行いましょう。

グリストラップのメンテナンス方法

グリストラップは定期的にメンテナンスを行う必要があります。メンテナンスを怠ると悪臭が漂い、害虫が寄ってきやすくなるからです。

店内にグリストラップを置いている場合は特に注意が必要になります。店内の衛生環境が劣悪になると、客先に悪影響を及ぼします。清潔な店内を保つためにも、定期的にメンテナンスを行うようにしましょう。どのようなメンテナンスを行うべきか以下で解説していきます。

毎日の清掃

グリストラップの中でも、バスケット内のゴミは毎日欠かさず除去しましょう。バスケットには野菜くずや食べ残といった生ゴミが溜まります。生ゴミは、放置しておくと腐敗が進み悪臭や詰まりをすぐに引き起こしてしまいます。バスケット内のゴミは生ゴミとして一般の燃えるゴミで処理できますので、こまめに取り除くようにしましょう。

また作業をするときは、素手では行わないようにします。調理したばかりの生ゴミと違い排水管を通ってきたゴミや水は、衛星的によくありません。食中毒の原因になりかねないためゴム手袋を装着し、服装も注意しましょう。

定期的なお手入れ

グリストラップの底に沈んでいる沈殿物や表面に浮いている油脂は、毎日でなくても構いませんが定期的にお手入れをする必要があります。

油脂分と沈殿物は2〜3日に1回を目安に清掃しましょう。バスケットを通過した汚水は次の段階で浮く油脂と沈む汚泥に分かれます。定期的に清掃しないとろ過機能がなくなり、キレイな水を排水できなくなってしまいます。一見、溜まってないように見えるときもありますが、柄杓などですくってみると想像以上に汚泥が出てくることもあります。

また、油脂が浮いたままの状態が長期間続くと固着したり、悪臭が発生したりする原因になります。長くても1週間に1回は油脂分と沈殿物を取り除きしましょう。油脂分と汚泥は「産業廃棄物」ですので、処理する際は十分な注意が必要です。

排水トラップのお手入れ

排水トラップは2〜3ヶ月に1回くらいの頻度で清掃します。排水トラップを清掃しないままでいると、いつの間にか油脂が固着して詰まることがあるため注意しなければなりません。

油脂が固着していくと、固着した油脂に新たな油脂が付着してどんどん膨れていきます。その結果、トラップ管が固着した油脂で一杯になり排水が通らなくなるのです。

このような詰まりを予防するためにも、2〜3ヶ月に1回は清掃することをおすすめします。詰まってしまってからでは改善に費用や手間がかかるため、詰まることのないように普段から清掃しておきましょう。

プロへの清掃依頼

グリストラップのメンテナンスを行うことで清潔な環境を保つことができます。しかし、 グリストラップの清掃は3K業務「きつい・汚い・危険」の3つの要素を備えています。スタッフのモチベーションを維持するためにも、スタッフには本業を任せて清掃はプロの業者に依頼した方が効率的に店舗運営を行いやすくなります。

また、自分たちで清掃するよりも、プロに任せた方がキレイな状態を保ちやすいというメリットもあります。プロの業者に依頼したい場合は、アイエスジーがサポートします。お店の環境やご予算などベストなプランをご提供しましょう。

まとめ

この記事では「グリストラップの設置方法や設置条件」「設置前に決めておくべきポイント」などについて解説しました。設置前にグリストラップの形や素材、設置場所、流入方式を決めておくことで、衛生的でスムーズな運営ができます。しっかり条件を確認してから設置するようにしましょう。

設置後に関しては、定期的なメンテナンスが必要になります。メンテナンスをしないと悪臭や害虫発生のリスクが高くなります。グリストラップを使い始めたばかりで清掃がうまくいかないときは、プロの清掃業者に相談しましょう。

アイエスジーなら豊富な経験からしっかり汚れを落とし、産業廃棄物の処理もクライアント様の手をわずらわせることなく最後まで処理いたします。グリストラップにまだ慣れないときは、アイエスジーのワンストップサービスがおすすめです。