飲食店に必要なグリストラップの設置費用に関する必要最低限の情報

これから飲食店の開業をお考えの方のなかには「グリストラップは必要なのか」「設置費用はどれくらいかかるのか」という疑問をもっている方もいるのではないでしょうか。

グリストラップの設置は義務ではありませんが、自治体によっては条例に定めているところもあるので確認する必要があります。また、新規で設置する場合は数十万円以上の費用が必要です。設置費用について事前に理解しておくことで「必要な資金の準備」「業者を選ぶときの目安」がわかるようになります。

そこでこの記事では、グリストラップを設置する際にかかる費用の目安、設置の際に考えておくべきことをご紹介します。店舗の開店にはたくさんの時間と資金が必要になります。グリストラップに必要な費用も始めに組み込んで、段取りよく進めていくことが大切です。迷走しないためにもしっかりチェックしましょう。

グリストラップの設置費用を用意するのは飲食店経営する上で重要

グリストラップは、油分で下水道管や排水管を詰まらせないように予防する排水システムです。油分がそのまま下水に流れてしまうと、川の水質を悪くすることにもつながります。

また、汚れた排水を直接流し続けると排水管に油脂が固着し、悪臭や詰まりを引き起こします。衛生的にも構造物の維持管理にも悪影響を及ぼすため、グリストラップの設置は必要不可欠です。

そのため自治体によっては設置を義務づけていたり、設置を呼び掛けていたりします。しかし設置費用は自己負担です。飲食店を経営する際は、グリストラップ費用を計上する必要があることを把握しておきましょう。

グリストラップの設置費用

飲食店の開業資金として、グリストラップにかかる費用のことも考えておかなければいけません。新規で建物を建てる場合でも、居抜きで入る場合でもグリストラップの設置は必要です。ただし、飲食店の居抜き物件の場合はグリストラップがすでに設置されていることがあります。その場合は、新規で購入する必要がなくメンテナンスだけで事足ります。

ここでは「新規で設置する場合」と「既存するグリストラップを使用する場合」でかかる費用の目安について解説します。

新たに設置する場合

グリストラップを新規で設置する場合は、グリストラップ本体と設置費用が必要です。設置費用は、グリストラップを設置する場所や排水管の位置などによって工事内容が異なるため、一律の価格ではありません。

設置工事は「排水設備指定工事店」に依頼する必要があります。自治体によっては工事店が指定されていることもあるため、事前に管轄の自治体に確認しましょう。設置費用の目安は、小規模店舗で約60万円~70万円程度、大規模店舗で約120万円程度です。

しかしこの費用は目安のため、店舗の施工工事を始める前に業者と話し合い、見積もりをもらうことをおすすめします。スペースができあがってから設置をお願いすると、余計な工事費用がかかることもありますので注意しましょう。

メンテナンスする場合

飲食店だった店舗を居抜きで利用する場合、以前使われていたグリストラップがあるケースもあります。その場合は、状態がよければそのまま既存のグリストラップを利用できます。状態が悪いと新規で購入する必要があります。

まずは、グリストラップの状態を業者にチェックしてもらう必要があります。交換する部品や修理箇所によって費用は変動しますが、メンテナンス費用の目安は約8~15万円程度です。業者によって金額が異なるため、自治体から工事店を指定されていない場合は予算と条件に合う業者に依頼するとよいでしょう。

グリストラップの設置費用を用意する際に意識したいもの

グリストラップは、自分の店に合ったものを選ぶことが大切です。グリストラップを設置せずに飲食店を経営している店舗では、悪臭がするなど問題が起きてしまっている可能性もあります。また、自店舗だけでなく、本下水道管を詰まらせるリスクにもつながります。

リスクには、対策にも処置にも費用がかかります。ここでは、グリストラップの「設置費用」を準備するときに必要なポイントについて解説します。

飲食店の規模

店舗の広さによって、明確にグリストラップのサイズが規定されているわけではありません。しかし、適切なサイズでなければしっかりと排水処理できず、トラブルの原因となります。一般的には店舗の規模によって適したグリストラップのサイズは変わってきます。

具体的には「店舗の面積」「1日に厨房を使う時間」「お客様の数や回転数」などから、どのタイプのグリストラップを設置すればよいかがわかります。グリストラップメーカーのサイトで情報を入力し、調べることも可能です。直接問い合わせて相談してもよいでしょう。

グリストラップのサイズによっても設置費用は変動するので、設置するときは店舗の規模も考慮する必要があります。

清掃の仕方

グリストラップは3槽構造です。グリストラップに流れた排水は、第1槽にあるバスケットの部分で大きなゴミを捕え、細かいゴミは底に溜まります。第2槽で水と油が別々になり、油を含まない水は第3槽のトラップ管から下水道へと流れていきます。そのため、グリストラップ内に溜まったゴミや油脂などを定期的に清掃しなければいけません。

グリストラップの清掃は、自分たちで行う方法と専門の業者へ依頼する方法の2択あります。一通り自分たちで行うことはできますが、簡単な作業ではないので本来の業務以外に行うのは大きな負担です。

さらにグリストラップ内の油脂と汚泥は一般ゴミとして廃棄できません。産業廃棄物として別に処理しなければなりません。そのため、グリストラップの構造や清掃方法に関しての知識をしっかり身につける必要があります。

十分な知識と人手があるようであれば、自分たちで清掃できて費用も抑えられますが、リスクも伴います。グリストラップを設置する際は、維持管理を委託するかどうかも検討ポイントです。

お客様の声

グリストラップを設置したら、その後のことも配慮しなければなりません。グリストラップの清掃が正しく行われていないと、店内に悪臭が充満していきます。普段からその臭いに慣れている従業員は、気づかないこともあるかもしれません。お客様が臭いを不快に感じ、店に来なくなったり評判が悪くなったりする可能性もあります。

お客様の意見を聞き取り「臭いが気になる」という声が出た場合は、グリストラップの清掃方法を見直したり、専門の業者に依頼したりしてメンテナンスを行うことが重要です。グリストラップを設置するときは、メンテナンス費用が必要になることも考慮して運営費用を準備しておきましょう。

グリストラップの設置費用を用意する方法

飲食店にグリストラップを設置するための費用は、必要経費です。本来であれば、飲食店を開業する前に用意しておくのがベストです。

どうしても用意が難しい場合は借りることになりますが、借りた相手からの信頼を失わないためにも確実に返済できるように計画しておかなければいけません。ここでは、グリストラップの設置費用の準備方法について解説します。

今ある資産から捻出

飲食店の開業には「店舗として使用する物件の費用」と「店内の設備に関する費用」などが必要です。グリストラップも飲食店に欠かせない設備ですので、グリストラップの設置費用も込みで考えておかなければいけません。

自己資金が十分にあり、グリストラップの設置費用を賄える場合は今ある資金から捻出する方法がよいでしょう。これから飲食店の開業を考えている場合、グリストラップの費用がかかることも想定して準備することをおすすめします。

お金を借りて捻出

自己資金があまりなく飲食店を開業したりする場合、グリストラップの設置費用が用意できないことがあるかもしれません。その場合は、お金を借りることになります。グリストラップを新たに設置する費用は約60~120万円がかかりますが、清掃道具や維持管理にも費用がかかります。しっかり必要経費を試算して、お金を借りる準備をしましょう。

お金を借りる際は、返済の目途をしっかり立てることが重要です。身内など近しい人が貸してくれた場合でも、返済計画はきちんと考える必要があります。

グリストラップの設置費用のほかに必要なもの

グリストラップの設置準備が整ったら「清掃時間や動線の確保」「清掃道具の準備」「従業員への説明や指導」を行います。ただ設置したり清掃したりすればよいというわけではありません。適切な手順や丁寧な作業が、グリストラップを正常に維持するためのポイントです。
ここでは、グリストラップの設置費用以外で必要なことを解説します。

備品の把握

グリストラップの適切なメンテナンスのためには、バスケットやトラップ管などグリストラップの部品の名前や位置を覚えたり、清掃道具をきちんと管理したりすることが求められます。

グリストラップの構造や部品を把握していないと、破損などにも気づくことができません。交換が必要な部品があるにも関わらず放置していると、グリストラップの機能を損ねる可能性も出てきます。

また清掃道具の管理も、衛生的な環境を維持するために重要です。グリストラップの清掃道具には、汚泥用のスコップやごみ用のネット、油の吸着シートや専用洗剤などがあります。清掃に必要な道具を揃えることはもちろん、清掃道具を清潔に管理したり、消耗品を切らさないように補充したりすることも大切なポイントです。

従業員への指導

グリストラップの清掃を担当するのは従業員です。経営者は、従業員に正しい清掃の方法を指導する必要があります。間違った方法で行うと怪我につながったり、グリストラップの汚れが取りきれず悪臭を放ったり、排水管が詰まったりすることにもなりかねません。

また、従業員が「なぜグリストラップ清掃するのか」を理解できていないと、適切な清掃が行われないこともあるでしょう。清掃方法はもちろん、清掃の目的や安全への配慮なども合わせて指導することが健全な運営のポイントです。

1日のタイムテーブル

グリストラップの清掃には、毎日行うことが望ましいものや数か月に1回程度必要なものがあります。毎日行う作業は、あらかじめタイムスケジュールに組み込んでおくと効率よく業務を進められます。

従業員が複数いる場合には勤務シフトを確認し、担当や人数を決めておくとよいでしょう。新人にグリストラップの清掃を担当させる場合、清掃方法を指導したり説明したりする時間も考慮しておくことをおすすめします。

店内の動線確保

グリストラップは、従業員の動線を確保できる場所に設置することが大切です。グリストラップの設置場所によっては、動きを妨げたり通りにくくストレスになったりします。動線を邪魔するような場所にグリストラップがあると、忙しい時間帯の妨げにもなりますので設置場所はよく考える必要があります。

グリストラップの種類には主に、屋外埋没型、屋内埋没型、屋内床置き型があります。埋没型であれば、邪魔になることはありません。途中からグリストラップを設置することになったり、油を使う量がそれほど多くなかったりする場合は、床置き型が選ばれることもあります。床置き型を設置する際は、動線に注意しましょう。

また同時に清掃動線も考えて、グリストラップを設置すると作業効率が上がります。ホースをやたらと伸ばさないといけない場所や清掃道具を管理している位置が遠い場所だと、余計な場所まで汚してしまう場合もあります。店内の動線を確保することは大切です。

設置費用をはじめグリストラップの管理を行う際は業者への相談が重要

グリストラップの設置費用は、店舗の大きさや状況などによって変わってきます。具体的な費用を試算するためにも、専門業者に相談して見積もりを出してもらうようにしましょう。

グリストラップは、設置してからもきちんと管理していかなければいけません。自分たちで日常的に清掃を行うだけでなく、専門業者に定期的に清掃を依頼することできれいな状態を保つことができます。また、従業員の負担も減らすことができるので、労働環境も改善することが可能です。

アイエスジー株式会社では、グリストラップの清掃からメンテナンス、廃棄物処理まで行っています。ご予算に合わせて幅広い要望に対応するため、初めてグリストラップを扱う方にも安心していただけるのがアイエスジーです。

まとめ

グリストラップの知識は、飲食店経営を考えるうえで必ず身につけておかなければいけないものです。設置後も清掃やメンテナンスを続けることで正常な状態が保たれ、効果を十分に発揮します。

グリストラップを新たに設置する場合には、ある程度の費用がかかります。飲食店を開業する際には、グリストラップの設置費用や維持管理費も試算してから資金を準備しましょう。

アイエスジーは、現場に行きお客様の声から最適なプランをご提供いたします。状況や条件に合わせてサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。